お気に入りカラーマンホール蓋
濃密感

千葉県銚子市の蓋

 千葉県の東端「犬吠埼灯台」と「カモメ」と市の魚「イワシ」が描かれているが、灯台を根元まで描かないことで波の荒さを感じさせているし、周囲を取り巻くイワシたちも生き生きとしている。いろいろなものをぎっしり詰め込んでいるのに、全体的にまとまっているところもすばらしいと思う。

躍動感

静岡県焼津市の蓋

 カツオの水揚げ日本一の焼津市らしくカツオがメイン。上の蓋同様、躍動感を感じる。銚子の蓋との共通点は海を平らに描いていないこと。これがポイントなのかも。また左の方の魚が下を向いているのも回遊しているカツオをうまく表現しているのかもしれない。この蓋を探しに行ったときに食べた寿司がおいしかったことも、高い評価を与えた一因?

印象派

千葉県館山市の蓋

 太陽と海とヨットを大胆にデザインした汚水用カラーマンホール蓋。無彩色盤だと単純なデザインとしか感じなかったが、カラーになると印象ががらりと変わる。海は水平線で描かれるのが通常。この蓋の湾曲した水平線は空を狭めてはいるが、逆にぎらつく夕日を引き立てている。夕日とマリンスポーツが売り物の館山湾を、黒を含めてもたった5色で表現しているのが高ポイント。

やっと感

新潟県村上市の蓋

 春の渡りの鳥を探しに通い続けてもう20年近くなるのが、村上市の沖合にある粟島。マンホールを意識するようになってからは、村上市にも度々行ってみたのだが、カラー盤の存在はわかっているのになかなか見つけることができなかった。駅や市役所など中心部ばかりを探していたのがいけなかったのだ。この蓋を見つけたのは、本格的なマンホール探しの折ではなく、粟島行きの船の出航時刻まで時間があったため、ちょっと探しに出たとき。だから、見つけたときの驚きと感動は今でも忘れられない。

奥行き感

埼玉県川越市の蓋

 地元埼玉県で、9年間住んだことがある川越市。蔵造りの町並みがあり、現在では東京から手軽に行ける観光地にもなっている。その川越のシンボル「時の鐘」を中心に描いた風景だが、中心を少しずらしたり、道路を描くことによって、マンホールの蓋の風景としては珍しく奥行きを感じさせるところがお気に入り。実はまだマンホールに興味がないころ、たまたま歩いていた歩道でこの蓋を見つけ、写真を撮った記念碑的な蓋。

美しい風景

新潟県魚沼市(旧・湯之谷村)の蓋

2010年5月だから、マンホールの蓋を撮り始めてそれほど経っていないころに撮った蓋。敷設されて間もなかったのか、周囲の蓋と比べても特別にきれいだった。0.2平米にも満たない盤面にその土地の特徴を詰め込み、しかも配置も色合いも美しく、撮りながらドキドキしていた。ノルウェーやデンマークにもデザインマンホールはあったが、カラーマンホールという美しくも無駄なものを作ろうという発想はないようだった。これぞ日本のマンホール。

勇壮さ

静岡県富士市の蓋

 遠望した富士山はスラリとスマートな山なのだが、近づくにつれて(登れば特に)ゴツゴツした山肌の火山なのだと気づかされる、富士市にはもっとカラフルに富士山を描いた蓋があるのだが、ゴツゴツ感が強調されるこちらの蓋のほうが、富士山の力強さを表していて気に入っている。

詩 情

新潟県新潟市の蓋

デザインは、荒海と北斗七星。北原白秋作詞、中山晋平作曲の「砂山」の歌詞に出てくる「荒海」、「すずめ」、「お星さま」 と符合する。

大きな青海波で荒海を表現しているのも面白いが、左端が佐渡を表しているとすれば、さらに面白い。

本気度

愛知県安城市の蓋

童話作家「新美南吉」が、29歳の若さで亡くなる直前までの五年間を女学校の教師として過ごしたのが安城市。そこで、生誕100年を記念して作られたのがこの蓋。 デザインは、没後に刊行された童話集「花のき村と盗人たち」の表題作『花のき村と盗人たち』のひと幕。大工や鋳掛屋、角兵衛獅子、錠前屋だった新米の弟子たちに盗人の頭が下見の指示をしているところのようだ。子供に姿を変えて盗人たちを改心させるお地蔵様も描かれている。 「北の賢治、南の南吉」と、宮沢賢治と並び称される新美南吉を採り上げたこの蓋も、ゆるキャラ流行りの風潮とは一線を画したいい蓋だと思う。

土偶大好き

山梨県茅野市の蓋

中央にあしらった市章を取り巻くように、国宝土偶「縄文のビーナス」と「仮面のビーナス」、日本の地質百選のひとつ「八ヶ岳」、市の木「白樺」、尖石・与助尾根(とがりいし・よすけおね)遺蹟の「復元竪穴住居」、日本三大アルプスの絶景を展望できる「北八ヶ岳ロープウエイ」、夏に車山高原を黄色い絨毯のように彩る「ニッコウキスゲ」を描いたマンホール蓋(マンホールカードの記述より)。土偶が大好きで、人出が多いところに行くのは大嫌いなのに国立博物館に見に行った。青森県や山形県にも土偶の蓋はあるけれど、カラー盤にしたのは最初かも。色々盛り込んだわりにはバランスも取れていると思う。

視点がいい

東京都多摩市の蓋

デザインは多摩川に遡上したサケ。見づらいが、サケは2尾いて、産卵直後の卵も見える。東京でサケ?という感じもするが、多摩川サケの会というのもあって、30年ほど前からサケの放流を行い、サケの回帰もあるとのこと。この蓋が面白いのは、水中カメラを半分水に突っ込んだように、水上の世界と水面下の世界の両方を収めていること。泳ぐ魚を上から眺めたり、水中の姿や水面にはねたところを描いているものは多いが、魚を主役にしながら風景もしっかり描いているのがいい。

レア度

埼玉県上里町の蓋

 埼玉県最北の町上里町には、町の木「八重椿」と町の花「サルビア」を描いた別のカラーマンホール蓋があるのだが、その蓋を探しに行って見つけたのがこの蓋。小学校の校章をベースにしている変わり種。開閉用の穴が埋まっていることから、実際に下水道の蓋として使われているものではなく、卒業記念か何かで制作したものかもしれない。町内のほかの小学校のものはないようだ。

入れ込み度

山口県山口市の蓋

 湯田温泉には温泉街を中心に、よくまあこれだけと思うほど、数多くのデザインマンホールがある。型を作って樹脂を流し込む一般的なカラーマンホール蓋もあるが、プレーンな蓋の上に樹脂で作った丸いパネルを貼ったのではないかと思われる蓋が多い。その造りだとデザインの自由度が高く、1枚ものも作りやすそうで、通りごとに、湯田温泉の縁起、その主人公である白狐、当地生まれの詩人中原中也、縁のある俳人種田山頭火、たいまつ行列のある湯田温泉白狐まつりなど、デザインを変えているのもここの特徴。

圧倒的量感

東京都足立区の蓋

 東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の歩道を歩くと、マンホールの蓋に興味がない人でも気づけば驚くかも知れない。踏まずに歩くのが難しいのではないかと思うほど、マンホール蓋が並んでいる。それもカラー盤ばかり。何種類もあるのだが、一番多いのが昭和の香りがするこのデザインの蓋。そのほかにも、小林一茶の「やせがえる…」ものや姉妹都市の関係でオーストラリアの「ワライカワセミ」や「コクチョウ」をデザインしたものなどがずらりと並んでいる光景には圧倒される。

圧倒的細分

神奈川県平塚市の蓋

 平塚市のデザイン蓋は1種だが、設置年度と各地域の名称が入っている。合流用のほか、汚水用も雨水用、農集排、農業用水用もある。「湘南ひらつか七夕まつり」デザインの図柄はどれも同じだが、文字のほうには微妙な違いがある。地域名と「たなばた」の文字はゴシック体のものが多いが、中には「湘南 ひらつか」の文字同様のPOP体が使われているものがある。また、年度の数字が幅の狭いフォントになっているものもあり、用途の文字の大きさが異なる蓋もある。地域名の違いだけでも100種類近い。

幻の…

富山県黒部市の蓋

 実はこの蓋路上物ではなく、浄化センターの一角に積み重ねられていたもの。訪ねた浄化センターで「カラー盤はどこにも設置も展示もされていない。」と言われたが、「センター内に置いてあるかもしれない。」と探してくださった結果見つかったもの。作られた当時はカラー盤を設置する場所がなかったらしい。黒部の清流を泳ぐ鮎を生き生きと描いている蓋なので、路上にないのが惜しまれる。

絶滅危惧

岩手県奥州市の蓋

 一度探しに行って見つからなかった上に、紹介されているどの写真を見ても傷みの激しいものばかりで、まともな蓋はもう見られないのではないかと思っていた。それでもストリートビューでこのカラー盤を見つけて、とにかく写真を撮ろうと出かけてみた。蓋の場所はピンポイントでわかっていたのですぐに見つかったが、やはり損傷が激しい。特にスギの緑ほほとんどの蓋で樹脂が抜けてしまっていた。それでも諦めきれずに少し足を伸ばしてみたら、1枚だけ、ほとんど傷みのない蓋を見つけた。思わず歓喜の声が出てしまった。ほかの蓋の傷みがひどいので、これもいつまでもつことか……。

まるで象嵌

千葉県印西市の制水弁の蓋。

マンホールサイズではなく、ハンドホールの蓋。描かれているのは市の花「コスモス」。コスモスは外来種だが、枠にまで広げられた描き方で、なんだか塗り物や象嵌細工のような和テイストが感じられる。デザインものの制水弁や仕切弁は各地にあるが、道路に置いておくのはもったいないような美しさがこの蓋にはある。ポイントが高いのはなんといってもこの枠だろう。

発掘…1

福島県須賀川市(旧長沼町)の蓋

旧・岩瀬村を経由して旧・長沼町に入ったころにはもう夕刻。乏しい光の中で無彩色盤を2種撮り、帰路に着こうと国道に出たときだった。歩道に何か青いものが見えた気がして、少し戻って確認すると、半分近くが畑の土に埋もれた マンホール蓋だった。隣の蓋のほうが土が少なかったので、少しきれいにしてから撮影。カラー盤の存在は全く期待していなかったので、感動。

発掘…2

迫川流域下水道の蓋

この蓋、ちょっと見ただけではカラー盤とは気づかないほど埃にまみれていたのを発掘?した。
この蓋は、震災で路面から飛び出してしまったが、補修工事で歩道は治ったものの、蓋は泥まみれになったまま放置されたようだ。実際、一度目にこの蓋を見たときには、もう薄暗くなっていたので無彩色盤と勘違いしたほど汚れていた。二度目に訪れたときに水をかけてブラシでこすったら、この通り。

キャラ

埼玉県小川町の消火栓の蓋

手漉きの「細川紙」が国の重要無形文化財の指定を受けるなど、小川町は和紙の里として知られている。その和紙を漉いている様子を描いた消火栓の蓋。働く女性の明るくたくましい雰囲気が好ましい。多くの自治体がゆるキャラを抱えるようになり、マンホールの蓋にも登場するようになったが、名所・旧跡、特産品などを持たない自治体ならいざ知らず、郷土の誇りを地元民にも外から来た人にもアピールするなら、こういった生活感のあるキャラクターを使ったほうがよいと思う。

キャラ

栃木県佐野市の消火栓の蓋

マンホールの蓋にゆるキャラを描いたものが多くなったが、この蓋がひと味違うのはさのまるの描き方。普段は上半身裸の「さのまる」が青とオレンジの防火服を着て、佐野ラーメンどんぶりのヘルメットからは○に「さ」の字が入った「しころ(錏・錣)」が下がっている。ここまではほかのゆるキャラの消火栓の蓋でも同じように描かれているが、顔は笑顔であることが多い。この蓋では普段はタレ目の「さのまる」が凛々しい顔つきになっていて頼もしく見える。

ダジャレ!?

大津市市制施行100周年記念の蓋

平成10年10月に市制施行100周年を迎えた際に作成された蓋。中央下部に「OTSU100」の文字が見える。 琵琶湖大橋とイーゴス108、びわ湖大花火大会、南湖周遊の外輪船ミシガン、ヨット、レガッタなど、大津市の景観に加え、市の花「比叡山すみれ」、市の木「山桜」と市の鳥「ユリカモメ」がにぎにぎしく描かれている。注目すべきは、左下にいるイヌ。イヌの手(前脚)が赤い。ワンのハンドがレッド、ということでワンハンドレッド=100周年の洒落とのこと。カラー盤でなければ完遂しない洒落を採用してしまったのがすごい。

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